北欧の森の金といわれるアンズ茸。訓練の際はどの種類のキノコを探させるかあらかじめ決めておこう。
いかにしてキノコ探知犬をつくるのか?
魔法でもなんでもない。犬の頭にこの方程式を叩き込むのがその秘密。
すなわち、「キノコのにおい=楽しいこと」
肉のにおいは、犬にとって楽しいことだ。すなわち食べること。だから教えなくても、勝手に探し出す。だが、犬はキノコを食べる動物ではない。したがって、なんとかキノコのにおいで食べ物のにおいを連想してもらえるよう、犬に学習してもらう必要がある。それがキノコ探知犬訓練と称するものである。
訓練の詳細は割愛するとして、だいたいの方法を以下に示そう。
1. 「キノコ探しは楽しいこと」を教えよう
最初は50cmぐらいの距離のところにキノコを置いて、におったらご褒美を与えるようにする。
犬の鼻先50cmぐらいのところにキノコを投げる。犬がその方向へ行き、キノコのにおいをかいだ瞬間に、犬に「君の今の行いは正しいことだよ」と合図を与える。正しいことをしたから、犬はご褒美をもらえる。
合図は「よし!」でもいいし、クリッカーをカチリとならすでもいい。そして合図が「楽しいこと」と連想してもらえるように、すかさず肉片など思いっきりおいしいものを与える。
キノコのにおいをかいだら、合図を与えずにすぐにその場でご褒美を与えてもいいのだが、訓練が進むにしたがって、キノコと犬の距離をあけなければならない。だから合図というものがあれば、長距離からでも犬に正しいことをした、とメッセージを送れるので、便利なのである。
そのうち、犬は「キノコのにおい⇒合図⇒ご褒美」という連想を始める。すなわち、「キノコのにおいはご褒美の到来」という方程式が、犬の頭の中にぼんやりと登場してくる。
2. キノコを見つけた時の合図を教えよう
以上の練習を何回かくりかえして、犬が必ずキノコのところに行くようになったら、今度はキノコを探したよ、という告知のポーズを犬にとってもらう学習をさせる。災害救助犬の訓練とよく似たようなものである。
ここでは座って告知する、という方法を示そう。犬がキノコのところへ行ったら、まず正しいという合図を出してご褒美。そしてその後すかさず犬に座らせる。ここでまたご褒美。この訓練を気長に忍耐強く続けているうちに、そのうち犬はキノコのにおいをかいだら座るようになる。
3. 距離を伸ばそう
キノコと犬の間の距離を徐々に開けて練習。50cmを1mぐらいに伸ばす。
4. 視覚的ヒントを取り除こう
今まではキノコがすでに犬の視覚に入っていた状態でキノコの元に行かせていた。ここでは、この視覚的ヒントを取り除き、犬が見ていないところでキノコをちょっと先に置いて犬に探させる。この際も、近い距離から始め、徐々に距離を開けてゆく。さらに、いろいろな環境で練習を行うこと。
5. 少し広い範囲で練習しよう
ある範囲をきめて、そこにキノコをいくつかちりばめておく。そして犬が探し出してにおうたびに、クリッカーをならしご褒美。
犬が必ず探し出すようになったら、3m x 4mぐらいの敷地を決めて、そこにいくつかキノコを落としておく。犬に探せのコマンドを出して、毎回犬がにおいを見つけるたびに、合図とご褒美。
駆け足であるが、だいたい以上のような感じで訓練は進行する。期間は、犬の集中力にもよるし、飼い主の訓練技量にもよる。長くて3ヶ月ぐらいかかる犬もいるだろう。
最後に、訓練の始めと終わりでの注意点について。
まず、「これから仕事だよ!」ということを犬にわかってもらえるよう、犬にスカーフを巻くとか、ハーネスをつけるなど、訓練の前に何か必ず「儀式」を行うこと。
すると犬は、これは単なる散歩ではなくキノコ探しなんだ、ということを認識してくれて、仕事モードに入り易くなる。この心理的作戦は災害救助犬などの訓練でも使われている。逆に、訓練が終わったら、すぐにハーネスを外すこと。たとえ15分の休憩の間でも、である。
それから、犬をキノコに送り出す前に必ずコマンドを出すこと。このコマンドで仕事はじめだということをわかってもらえるから。たとえば「キノコ探せ!」「探せ!」「キノコ!」等、なんでもよし。
また、訓練を終わる時には、犬が一番上手くこなしたところで、すばやく切り上げることだ。一度につき、あまり長々と訓練を続けないことも忘れずに。
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