トップ >  生態・行動 > 犬を犬として見てどこが悪い? (1) - 犬を尊敬するという本当の意味

081112_thinking_dog

どうして犬を犬としてみてくれないんだ…?僕は人間と同じじゃないよう。犬には犬の持つ素敵な価値観があるのを知らないのかい?

犬に服を着せたり、アクセサリーをつけるのが愛犬家の間でのブームともなっている昨今の日本。中には犬を着飾らせるなんて擬人化がすぎる、といって眉をひそめる人もいる。

でもその程度の擬人化で犬は不幸せになるわけではあるまいし、飼い主が満足をするのなら別にいいじゃないか、とも思う。

本当にしてはいけない擬人化。それは、犬を犬としてみることを否定する態度ではないだろうか。

081112_playing_dog

犬らしく生きさせてあげる。犬が好きだということをやらせてあげる。それが犬への本当の尊敬の念!

たとえば、人間がいやに嗅覚の発達した謎の宇宙人、MOGURA に侵略されたと考えよう。その宇宙人たちは、地中に住んでおり視覚はほとんど持っておらず、互いにニオイを出しながら会話を交わす。MOGURA は人間をペットとして飼っているが、彼らにとって人間はまるで理解のできない動物のようだ。というのも MOGURA はニオイを出してコミュニケーションを試みるが、人間は一向に理解してくれない。それどころか、どうやらまるで鼻がつかえない様子だ。しかし MOGURA 宇宙人は人間を可愛いと思うあまりに一生懸命ケアしてくれる。

「ほら、あなたに特上の香水をつけてあげるわ」

「この本はニオイで読む本よ。とてもスリリングで面白いから嗅ぎ読みなさい」

ところが人間の鈍感な鼻では、何がいいニオイなのかどんなメッセージがニオイにこめられているのまるで知覚できず、従ってその価値を楽しむことができな い。人間の住まいは MOGURA と同じ暗い部屋だ。そこにはいろいろなニオイが立ち込めており、MOGURA にとっては最高の家だという。しかし人間ときたら、隙をみては地中から出ようとして光を求める。そしてその度に、MOGURA に叱られるのだ。

「こんなに可愛がってあげているのに、人間はバカだ。それとも恩知らずなのか」と MOGURA はときどき愚痴をこぼす。

そこで人間は言うだろう。

「食べ物や住む家をあてがってくれるのは嬉しいけれど、本当はもっと視覚的刺激が欲しい。新聞を読んだり、映画を見たり。お日様を感じたり。いつも暗い部屋じゃ退屈すぎるんです」

でもそんな音声による口語の言葉は MOGURA には理解できない。他より少しでも嗅覚が鋭い人間を「利口」と褒め称えるのが関の山。そして「これも人間愛護よ」と言いながら、ひたすら哀れみ、自分の子 供にそうするように、嗅覚の乏しい人間にニオイのついた高価なグッズを買い与えてくれる。そう、人間をまるで宇宙人と同じように扱ってあげるのが、 MOGURA の人間愛護理念のようなのだ。

おまけにある MOGURA はこういうことまで言った。

「私のタロちゃんを『人間』なんて呼ばないで。この子は MOGURA と同格なのよ。私たちの家族の一員なんだから」

でも人間は心の中でこう叫ぶわけである。

「それも嬉しいけど、どうして人間を人間として見なして、それ相応に付き合ってくれないんだ。人間にも人間のニーズがある。宇宙人のニーズとは必ずしも いっしょじゃない。それに、人間だからってそんな哀れんでくれなくたってもいいのに。私たちには発達した大脳があるし、視覚だってすごいんだ」

一方でそんな愛護トレンドに対して批判的で、

「“擬 MOGURA 化”も甚だしい!人間なんか人間畜生として扱えばいいんだ。そんな高価なものをやる必要はない」

と、食べ物だけ与えて暗い部屋に人間を閉じ込めたまま何もコンタクトを取らない MOGURA も中にはいる。そこでも人間は社会性動物の性として孤独に耐えかね嘆き悲しんでいるのだ。

【関連記事】

« ケータイでも dog actually | トップページ | Four Legs and a Soul - 小さな写真展からのメッセージ »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/514872/43084146

コメント






「宇宙人MOGURAと、そのペットの人間」とは
なんと斬新な発想でしょう!!
でも、おっしゃりたい事がよ~く伝わりました。
擬人化も畜生扱いも、する側としては楽なんですよね。
あんまり深く考える必要がないから。
相手を尊重するって難しいですもの。
それが人であれ、犬や猫であれ…。
とても勉強になりました。ありがとうございます。

投稿: Marie@南国 | 2008/11/12 11:29

↑の方と同じく…。とてもわかりやすくユニークな、でもちょっと物悲しいアイロニーで教えてくださって、ありがとうございます。

人間からすると、犬のためを思ってやっていることでも、「犬の立場」からすると、どうなんだろう…と、犬を飼い始めてからしばしば悩むようになりました。
まずはよーーーく犬を観察すること、そして生態や行動学などを勉強することが必要だと思っています。

まず嗅覚ありきの犬と、まず視覚ありきの人間、一緒にお散歩に出て、興味をもつことからして全然違いますよね(笑)

人間側にとっては都合の良いことでも、犬にとっては不幸なこともあり、そのまた逆もあります(犬にとってはいいけど…と)。
犬は人間社会の中で生きる動物ですから、そのバランスをどこでとるかですが、今の日本では、規制ばかりで、犬らしく生きることが難しくなりつつある印象があります。

投稿: うにゃぱん | 2008/11/13 14:31

>>Marieさん&うにゃぱんさんへ

コメントどうもありがとうございました。とても深く犬に取り組んでくださるかたがたと考えを共有できて、うれしいです。

犬の価値観(?)を尊重しながら、かつ人間の社会で共存できるよう、しつけも同時におこなってゆく。難しいことではありますが、これも犬という動物なら、また可能なんですよね。
そこが、犬のすごい部分だと思います。ほかの動物では、どっちかが犠牲にならないといけない(オオカミとかクマとか、その他もろもろの動物)。実際に、すばらしいチームワークで犬と楽しく接している人もいる。そういう人は、よくドッグスポーツの世界にみかけます。これはなにしろ協調関係にないと、絶対に実現しないスポーツですから。時にはそういう関係を犬と築き上げれる人は、神がかってみえますね!才能もいるようです。

投稿: ふじた | 2008/11/13 15:25

 
推奨画面サイズ
1024x768以上