トップ >  スポーツ・アウトドア > サンポの出産 (2)

081218_toppo_1

母性本能を持つ女と持たない男の感受性の違いだろうか。生まれたてのサンポの子供たちを見て、妻は「なんて、かわいいんでしょう」と微笑んだが、目も開いていないモグラ顔の赤ん坊が僕にはかわいいとは思えなかった。

ただ、いとおしさは感じた。人間の赤ちゃんと同じだ。純粋で穢れなき生命と、わが子を慈しむ母親のサンポ。愛情に満ちた光景を眺めていると、つい涙がこぼれそうになる。

サンポは食事と排泄の時に離れるぐらいで、丸一日子犬たちのそばで暮らした。授乳をして、子犬達が排泄するとすぐになめて処理する。昨日まではただの犬だったサンポが、誰に教えてもらったわけではないのに母親に変貌している姿に、動物の本能を感じずにはいられなかった。

また、3歳年上のニホはサンポの前に座って、授乳の様子をじっと見つめた。擬人化すると、その姿は子供を産めない体にされてしまった女性が(ニホは避妊手 術をしている)、母と子の姿を悲哀に満ちた瞳で見つめているように思えた。もちろん、勝手な思い込みにすぎないが、ニホがサンポと同じように子犬たちをい とおしげになめ回す姿を見ると、胸が締めつけられた。ちなみに下の写真で右上に写っている物体は、子犬をなめるニホの舌と鼻である。

081218_toppo_2

目が開き、よちよち歩きをするようになってからは、かわいさが爆発した。イエローのメスが3頭とオス1頭、ブラックのメスが2頭とオスが1頭という兄妹構 成。1頭だけでもかわいいのに、それが7つも集まって動くものだから、もうたまらない! 座ってもかわいいし、寝てもかわいい。何をしてもかわいくってし かたがないのだ。

僕は子犬のそばから離れられなくなり、仕事にならない毎日が続いた。机とパソコンを子犬の脇に運んでそこで仕事をしようかと本気で考えて、妻に呆れられた。

081218_toppo_3

生後2週間をすぎたあたりから離乳食を与え出した。初めて与えたときはもどかしくなるくらいに下手だったが、子犬たちはすぐに食べ方を覚えた。皿に顔を突っ込み、顔中が離乳食でベタベタの状態になる。その顔をニホとサンポがなめまわした。

離乳食が増えてからは、母親のサンポは楽になったけど、僕たちの負担が増えた。それまで子犬たちのウンチの処理はサンポにまかせていたが、離乳食になって ウンチの質も変わり、量も増えてからはサンポにまかせるわけにはいかなくなった。僕らがティッシュペーパーを使って片付けなければならない。食後などは一 斉にあちことでしまくるものだから、大変な状況だ。

でもそんな苦労も天使たちの前ではすべてが許される。子犬が7頭いると苦労や世話は7倍かもしれないけど、かわいさは間違いなく7倍以上なのである。

081218_toppo_4

僕と妻は子犬たちにいろいろな経験を積ませようと、積極的に外へ連れ出した。まずは庭で遊ばせたのだが、子犬たちは目にするものすべてが初めて見るものば かりだ。とくに雪を目にしたときは、目が丸くなり、おそるおそる雪に足を踏み入れて驚いた。が、すぐに慣れて7頭で雪の中を転げ回った。好奇心のままに行 動して喜んでいる姿は、眺めている僕らの心も和ませた。

「動物の赤ちゃんは攻撃されないように、絶対的にかわいいと思える姿に神様が創ったんだ」と友人は語っていたが、子犬たちを眺めているとその言葉も納得で きてしまう。僕はフリーランスという立場を生かし、外に出かけなくてはならない仕事をできるだけキャンセルして、今しか味わえない幸福に浸る毎日を味わっ た。子犬たちが巣立つまで、親バカの日々に徹することに決めた。

【関連記事】

« ピレネー犬めぐり紀行 (3) - 突然おりてきた羊飼いとその牧羊犬たち | トップページ | クリスマスマーケットに現れたソリ犬たち »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/514872/43449148

 
推奨画面サイズ
1024x768以上