ダニエル・フルスト氏と「狼たち」
近頃日本でも少し知名度が増してきたドイツのクリスマスマーケット。クリスマスマーケットはドイツの各都市で見られ、もちろんここベルリンでも数箇所で大規模に展開されている。私はこの季節の風物詩を毎年家族で(もちろん愛犬を連れて)どこか一箇所を訪れることにしている。
今年行った先のクリスマスマーケットの一角には小規模な「子供遊園地」があり、それを発見した娘の手に引かれついて歩いているとき、脇にいた警備の人から声をかけられた。
「すみません、その先は犬は立ち入り禁止ですので...」
普通こういった野外の催しで犬が立ち入り禁止になることがないドイツだから、珍しいなと思い理由を聞いてみると、実はこの子供遊園地の隣には「ソリ犬達」がいるという。客の連れている犬が「ソリ犬たちの仕事の邪魔にならないように」との配慮らしい。
屋台というには大きすぎる仮設小屋の暖かい明かりを求めて人が行き交うドイツのクリスマスマーケット。
さて、日を改め犬なしでこのソリ犬たちを訪ねてみた。
たしかに、いた。子供遊園地の奥に設置された一周100mほどのトラックの真ん中に小さなモンゴル式のテント(ゲル)が立ち、その前には2頭のハスキーがトレーニング・カートに繋がれていた。
フルスト氏に教えられてマッシャー体験中の子供たち。雪があるともっといいんだけど...ボスの掛け声ひとつでさて出発!
このハスキー達のボスはダニエル・フルスト氏。フルスト氏のソリ犬は現在14頭、この日はそのうち9頭を連れてきていた。彼が犬たちと旅した国は数知れず、もちろんスウェーデンやノルウェーなどには季節を問わず何度も足を運んでいる。長年犬を家族として暮らし、いつしか趣味を仕事にしてしまった一人であった。
雪のあるなしにかかわらず、年間通してソリ犬ツアーを提供しているほか、彼らの犬はセラピー犬として幼稚園や学校・病院・高齢者施設などの訪問もしているという。
「グリーンランドのソリ犬たちが用のない夏場には半野良のように放し飼いをされ、冬場になればまた回収されて使役犬として利用されるのとは対照的に、ハスキーは年中ヒトのそばで暮らしてきた。そしてヒトはハスキーをソリ犬として問題なく利用できるよう、群れの中での優劣順位づけなんていう小難しい問題を解決するためにハスキーの攻撃性を厳しく淘汰してきた。そのお陰でハスキーたちは見た目にもかかわらず従順な性格ばかりが残っているというわけ」と、フルスト氏はハスキーたちがなぜセラピー犬として向いているかについて話してくれた。
ソリ犬たちには暑過ぎるほど暖かいゲルの中、時間がゆっくり流れる。
とはいえ、もちろんセラピー犬としての訓練を受け資格も取っているこの犬たち。安定した性質のため街の中ではどんな大通りを走ろうとも、トラックやバスにも物怖じどころか気をくれもせずただひたすら走りに集中しているという。
犬たちの体作りのためにフードは高タンパクの特別なものを選び、冬場のシーズン中にはさらに魚と鮭油がスペシャルメニューとして加わるそうだ。
待機中の犬たち。外気温0度はソリ犬たちにとって寒いとはいえない。フルスト氏は自分に合ったソリ犬としてアラスカン・マラミュート(手前)とハスキーを掛け合わせてブリードしている。
11月末のクリスマスマーケット開始に伴い始まったこのソリ犬の催しも残るところわずか。普段テレビや雑誌でしか見かける事のない本物のソリ犬たちの姿に触れる子供たちは、みな笑顔だ。ここには雪がないのが少し残念だが、それでもここでのマッシャー(ソリ犬操縦者)体験はもしかしたら次世代のソリ犬ファンたちを生み出すきっかけになるのかもしれない。
ソリ犬たちの仕事納めは23日、クリスマスイブの24日は完全なオフとして犬たちと静かに過ごすことを予定し、年が明ければいよいよ本格的にシーズン開始!まずはドイツ国内を走り回るのだとか。
「犬たちは走りたがっているんだ。今じゃなければいつがある!?」と笑ってフルスト氏は言った。





こんにちわ。いつも楽しく読ませて頂いてます。
一番最後の写真・・・気持ち良さそうな所で休んでいますね・・・これはクリスマスマーケット内のテントですか?
犬たちも良い体格してるし、ヘルシールッキングな感じで良いですね。
投稿: Tinako | 2008/12/20 11:53
>Tinakoさん
こちらこそ、いつもコメントをありがとうございます!
犬たちが休んでいるのはマーケットから少し離れたところに張ってあるテントの中です。
ドイツの動物保護法で藁などを敷くように指導してあるので、こういうフカフカ状態になっているのです。(^^;)
(よくみると一頭だけソリ犬じゃないヤツが混じってます)
さすが毎日トレーニングを欠かさないだけあって、体格はしっかりしていました。彼らは家庭犬でもありますが、立派な使役犬でもあるのですね。
投稿: 京子アルシャー | 2008/12/21 06:32
こんにちは!ソリ犬大好きです!
今文中にも記載があったグリーンランド犬ですが、丁度今、北極圏調査プロジェクトの犬たちのサポーターになっています。
人懐っこいハスキーと比べて扱い易いとは言えないグリーンランド犬は非常に数が減っているそうです。
日本にいた樺太犬もほぼ絶滅してしまったようですし、寂しい限りです。
ところで先日、クリスマスマーケットが地元の都市で開催されていたので行ってきました。
ビルの広場のささやかなものでしたが、それでもドイツやオーストリアからの物産の店が並び、楽しいひと時を過ごしました。
レースやスパイスリース、バームクーヘン、フランクフルト(現地ではなんていうのかしら?)が売ってあって少しだけ、現地の雰囲気を味わうことができました。
いつか本場に行ってみたいです。
そしてなんとしても「小さなゲル」を見つけ出すつもりです。
投稿: rio | 2008/12/23 16:30
>rioさん
うわぁぁ、すみませんっ!!
いただいたコメントが年末のドサクサで埋もれていました!!
遅まきながら、お返事させていただきますね。(^^;)
グリーンランド犬は本当に実用使役犬ですものね、スノーモービルの登場でその存在意義が危ぶまれています。
とはいえ絶対犬橇でなければという場面もありますから、どうか絶滅しないように祈っています。
ゲル見つかりましたぁ?(笑)
いつかドイツのクリスマスマーケットも見に来てくださいね。
商売っ気がなく、心が素朴になります。
ちなみにフランクフルト(茹でソーセージ)はこちらでもフランクフルトまたはBockwurst(ボックヴルスト:雄ヤギ?ソーセージ)と呼ばれています。もう少し細めのものだとWiener(ウィンナー:「ウィーンの」という意味)で、焼きソーセージはBratwurst(ブラートヴルスト)です。
ソーセージ類も美味いですけど、さらには冬場だけの料理も多くありますので、やはりぜひお越しください。
投稿: 京子アルシャー | 2009/01/12 23:36