[Photo by helena.40proof]
どんな犬でも人でも、その場で出場できる「草ドッグショー」。きっと皆さんも、一度は参加してみたいと思うのではないだろうか。
芸ができなくてもいい。早く走れなくてもいい。ただ単純に、「今日来た犬の中で最も可愛い目をしている」賞で1等をもらったら、家族みんなが飛び上がって嬉しいこと間違いない。
そんなドッグショーへの招待状が、レディの元にもやってきた。
招待状はレディの出身レスキュー団体、Dogs Trust からだった。Cup for the "Best Rehomed From Wickhamford" (Wickhamford の最優秀保護犬カップ)というタイトルの「ファン・ドッグショー」に、是非参加してくださいとのこと。この草ドッグショーは Dogs Trust のオープン・デイも兼ねていて、普段、センターを訪れることがない人も、Dogs Trust がどんなところか実際に見学して、犬達に会うことができる。
何やらとっても楽しそうだ。行ってみよう!
当日、センターの敷地内にある草地に、沢山の犬と人が集まった。車を草地に停めて、外にでるとイギリスらしくない快晴!お店もたくさん出ていてとてもワクワクする。
[Photo by chrisjangeorge]
まずは受付でエントリーをして、どの競技に出るか選ぶ。エントリーナンバーは55番。エントリー料金は1競技1ポンド(当時の200円)、全て Dogs Trust に寄付される。ペディグリーや、パルというペットフード会社もスポンサーとして参加。
レディはこんな競技に出ることにした。
- Best rehomed bitch from Wickhamford(ベスト保護雌犬カップ)
- Best condition bitch(ベストコンディション雌犬)
- The bitch with the most "appealing" eyes(最もアピールしている目を持つ雌犬)
- Best short coat(短毛のベストコート)
- Best movement(ベストムーブメント)
その他にも、雑種部門、ブリード部門、ジュニアハンドラー部門、7歳以上のシニアで一番健康な犬部門、飼い主と犬がそっくりさん、誰がおやつを一番上手にキャッチできるか、ベストパピー、ハンサム雑種犬、ベストオールドカップル(年配の人と犬のコンビ)、審査員のお気に入り賞、誰が一番しっぽを振れるか、なんて競技があった。

様々な犬達が集まった。正式なショーにいつも出ているような、しっかりとしたブリード犬もいれば、雑種の犬も多い。Dogs Trust 出身の犬もいるし、そうでない犬もいる。色々な犬がいて、参加するほうも見るほうもとても楽しい。優勝者にはトロフィーとブルーリボン(ロゼッタ)と賞品が貰える。6位までの入賞者にも、それぞれ色の違うロゼッタと賞品が渡される。ロゼッタをもらった犬はそれを首輪につけてもらい、犬も飼い主もとても誇らしそう。
小さい犬も大きい犬も。
レディの最初の競技はレスキュードッグ杯!出番が来るとリングに入り、審査を待つ。ジャッジは普段、公式のドッグショーでも活躍している審査員だそうだ。ジャッジの2人はレディの歯や耳を見て体を触り、「どのくらい飼っているの?」「何歳かしら?」と尋ねる。競技によっては飼い主と犬が一緒に速足で走る審査もあり。
「どうやったら良く見えるのかしら?」と、一応毛並みを整えてみる筆者。
審査員は全ての犬を見終わった後、全体を眺め、あなた、あなた、あなたと6カップルの人と犬を選び出す。そしてその中からさらに順位を決める。割とさっさと審査が済むが、ジャッジが指をさして「前に出てきて!」と選ばれる時のドキドキ感は、まるで本物のドッグショーに参加しているかのようだ。
親馬鹿としての期待は十分だったが、レディは残念。この日は全ての競技で選ばれることはなかった。まるで授業参観に来た親の気持ちのよう。暑い日だったので、日差しの下にいて私もレディもちょっと疲れたが、更に1ヵ月後には別のチャリティ・ドッグショーが開催されると聞き、次回でのリベンジを誓った。草ドッグショーにはまってしまった飼い主がここにまた1人誕生。
ショーと併行してのお遊び部門に、100m走やアジリティ体験、迷路もあった。ちなみにレディは迷路の中できょとんとするだけで、私は汗だくになって名前を呼ぶばかり。主に観客の失笑を買う。
しっぽ振り競争も面白い。長いも短いも、皆、ちぎれんばかりにしっぽを振ってなんと可愛らしいこと。昔、スペンサーやレディの面倒を見てくれていた、Dogs Trust スタッフのニックが飼うスパニエルが優勝!

そしてその1ヵ月後。暑さ対策もバッチリだった私とレディは、"Greyhound and Lurcher Day"に参加し、見事"Dog or Bitch the Judge would like to take Home"(審査員が連れて帰りたい犬部門) で4位に入賞した。沢山の犬の中から選ばれた時の感激は、言葉では言い表せない。誰かが一度飼育を放棄した犬が、リボンをもらうようになるなんて。
グレイハウンド&ラーチャー・デイには、沢山のグレイハウンドと、サイトハウンドの血が入った雑種が集まった。やはり元競争犬が大多数で、尻尾が途中で切れてしまっている犬がよく目に付いた。レーシンググレイハウンドはゲートなどに尻尾が挟まれて切断してしまうことが多いそうだ。
集まった人達がグレイハウンドの福祉について署名をしているところ。
このような草ドッグショーはイギリス各地で行われているので、在英の方は是非チャレンジしてみよう。パラソルやお弁当などを持って、ピクニック気分で参加するととても気持ちが良い。ビールを飲んだり、ショーを横目で見ながら寝転んで本を読み、うつらうつら居眠りしている人たちも多い。レディの参加したショーのエントリー料は、Dogs Trust への寄付になったが、その他にも、乳がん研究の寄付になったり、様々なチャリティ活動につながっている。イギリスは本当にチャリティがどんな場面にも根付いているのだ。
おばあちゃん、犬にも日陰を作ってあげています。
草ドッグショーで特によく知られているのは Scruffts(スクラフツ)であり、これはクラフツの雑種版で、ケネルクラブが行っている。エントリー料は同じく1ポンドで、各地のカントリーフェアや Paws in the Park Show などのドッグ・イベントの中で行われている。性格、健康面、犬と飼い主の関係が特に審査される。最もハンサムな犬、最も美人な犬などの競技があり、それぞれ1位になると、秋にロンドンで行われる"Discover Dogs"でのグランドファイナル出場権を獲得する。Discover Dogs まで行くと、もはや正式なドッグショーと雰囲気はなんら変わりがない。
[Photo by wylliegal]
雑種犬のみが出場できるドッグショー「スクラフツ」、「子供のベストフレンド賞」を選ぶファイナル。
日本でも、様々な犬のイベントが各地で開催されるようになってきた。フリスビーだったり、アジリティだったり、コーシングだったり、仮装だったり、それぞれ何か秀でた技術が必要だが、この草ドッグショーのように、「何もできなくていい」お気楽なイベントがあったら、そしてそれがチャリティとして何かしら社会の役に立てば、きっとまたドッグ・イベントの幅も広がることだろう。
[Photo by hugovk]
PDSA(The People's Dispensary for Sick Animals)主催の草ドッグショーの案内看板。PDSAは、低所得の人が飼う動物に対し、獣医師が無料で診察や治療を行うチャリティ団体。
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わぁ、ほんとに楽しそうですね。
全ての、純血、雑種が参加できる事もすばらしいですし、それがチャリティだというのもすごいです。
もし参加できるとしたら、我が家は迷わず7歳以上のシニアで一番健康な犬部門ですね。
7歳以上のシニアで一番長い時間遊んでいられる部門があったら優勝を目指します。
レディちゃん、緑の芝生にグリーンのリボンがぴったりで、輝いて見えます。
投稿: むつき | 2009/03/21 19:07
生まれてこの方、競技、競争は受け付けない自主選択的ゆとり世代の私ですが、これは素敵なショーだと思います。(日本でやると狭いところにわんさか集まりそうで実際問題としては行かないと思いますが)
なんてったって競技種目が秀逸ですね!
レディちゃんも良かったですね。
投稿: rio | 2009/03/22 00:56
リボンをつけたレディちゃんがなんとなく誇らしそうで可愛らしいです。
我が家の近所でも年に1回Dog Fairというのがあって
種目も運営方法もよく似たイベントがあります。
ショーに参加したことはないのですが、愛犬といっしょに
うろうろと歩くだけでも楽しくて、心ばかりの寄付をして帰ってきます。
でもショーやイベントの種類の多さやバラエティはさすがイギリス!
社会が「人犬一体」になっているという感じですね。
ところで一つ質問なのですが
イギリスにもグレイハウンドレースがあるのですか?
アメリカでは州ごとに法律が違うので
禁止の州と容認の州が入り混じっているのですが
最近ではマサチューセッツ州でドッグレースが禁止になり
SPCAなどがガッツポーズをしていました。
投稿: あが | 2009/03/22 02:32
明るくて、健康的で、裏も表も健全なドッグショー。
いいなあ。こういうドッグショーなら、毎回でも見に行きたいです。ドッグショーは一度見に行って、想像以上の(なんとなく予想はしてたけど)状況に、もう二度と行くことは無いだろうと思った私ですが。
日本も、犬オタクでない、普通の人々とその犬たちが参加できるこういう行事が、もっと増えればいいなと思うけれど、犬との付き合い方の歴史が違うし、土地の広さも違うから、実現には、かなりのエネルギーが要りそうです。
レディちゃん、リボンをつけてもらって誇らしげに跳ねてますね。新木さんの嬉しい気持ちを共有してるんですね。こちらも笑顔になってしまいます。
我が家が参加できるなら、一番年長の彼を、「10歳以上で一番気むずかし屋で文句タレ部門に出そうと思います。優勝間違いなしだわ、きっと^^
投稿: ハニフラ | 2009/03/22 20:28
むつきさん
イギリスの犬とそれを愛する人たちには、どんな犬でも本当に隔たりがないんだな、って思う瞬間でもありました。
また、こういう田舎のイベントだと、アジア人は私一人なわけですが、そういう中でも本当に隔たりを感じさせない場所でもありましたね。犬が介するってすごいですよね。
一番健康な犬部門もいいですよね。
緑のリボンは今でも大切な宝物です。
rioさん
自主選択的ゆとり世代ですか。ふふふ。
本当にこのイベントは良いですね。
天気の良い日に芝生に出て何かするっていうのは、イギリスでは犬に限らずわりとあって、クラシックカーのコンテストとかも、こうやってみんなでビール飲んだりねっころがったりしたりして楽しいです。青空オーケストラとかも。
そうやって楽しむ考えの基盤が最初からあるのですね。
あがさん
じゃあ次はあがさんもそのショーに参加してみるといいですね!
でもほんと、ウロウロするだけでも面白いですね。
出ている出店もレスキューのお店の商品だったりするし。
でもこういう地方のイベントは、本当に大げさなイベントじゃなくて、日本で言う近所の夏祭りみたいなものなので、気楽に参加できてよいです。イギリス人は青空の出る夏を貪欲に使いますね 笑
イギリスでもドッグレースはありますね。レース場も各地にありますが、最近はドッグレースをする人がだんだん少なくなってきて、レース場はだんだん閉鎖されつつあります。
ただ閉鎖されると、今いる犬たちの行き場がなくなって、レスキューが満員になったりして、それはそれで問題なのです。
でも犬に対する扱いはアメリカの状況よりはまだマシだと言えます(決してよいとはいえないのですが)。私は大学のスーパーバイザーが、レーシングトラックのsurfaceによるグレイハウンド脚への影響を研究していたこともあって、グレイハウンドへのwelfareをわりと勉強しました。
ドッグレースは競馬とは違ってここ100年で先進国ではきっと消滅することでしょう。でも、そうするとこんど途上国なんかで必ずまた始まります。レースがなくなることはないですが、その間のwelfareを向上させることは大事なことですね。
ハニフラさん
うーん、私も通常のドッグショーは見に行くことはないですね。
でもまっとうなブリーダーさんに言わせると、英国の田舎でやる公式なドッグショーは、やはり草ドッグショーのような雰囲気でとても和やかで楽しいそうですよ。
犬おたく(笑)、そうですね。本当に、こういうふうに簡単に参加できる行事があるといいですよね。
こういう行事に参加すると、いろいろな犬に会うことから自分の犬もしっかりさせなくては!という意識が働いて、どこに出しても恥ずかしくない犬を育てる躾へのきっかけにもなりそうですね。
ははは!きむずかしい犬ベストですか!英語でいえば、グランピードッグやムーディドッグですね!
無口な犬部門とか、表情を変えない犬部門とかも面白そうですね。
投稿: 新木美絵 | 2009/03/22 21:02
新木さん
ご回答ありがとうございました。
先のコメントに書きましたドッグフェアーには必ず引退レース犬の里親募集のブースがあって、グレイハウンド達が温かい家庭を待っているのを目にします。近所の散歩仲間にも元レース犬のグレイハウンドがいるのですが、身体中無数の傷跡だらけです。狭い所に閉じ込められて、犬同士ストレスで噛み合ったりするからだと聞きました。
色々と調べてみて、アメリカでのドッグレースの現状の余りの酷さに唖然としました。署名や寄付をすることくらいしかできないのですが、他の国ではどうなのだろうか?と気になっていたのです。
おっしゃる通り、先進国で消滅したとしてもきっとまた違う国で発生するのでしょうね。「人間とはなんと勝手な生き物か」と悲しくなります。
幸い日本にはドッグレースはありませんが、旅先などで見かけてもどうかそんな所にお金を使わないで下さいと強く呼びかけたいと思います。
投稿: あが | 2009/03/24 14:39
あがさん
すごく難しいところなんですが、グレイハウンドレースは収益が減れば、その分、犬への扱いも悪くなるので、単純に、犬券を買わなければOK,というわけにもいかない、このバランスが難しいところなのです。
私もレース観戦をしたことが何度かあるのですが、彼らは、そのへんで飼われている引退レース犬と比べれば、本当に痩せていて、そのとおり、傷だらけ。お尻周りとかもね。痩せていないと速く走れないから体重はギリギリまで絞っているわけですけどね。
彼らはレース場ではレース前には、ボックスのような犬舎に入れられていて、出番が来ると出され、多くの犬がレース前に排便をしますが、その便はチョロっとしたものを何回も出す、というものが多いですね。ハードな生活を送っていることがよくわかります。
レスキューの大部分が、このex-racerでしめられていることも多いですよね。救いは彼らが家庭犬としてとても良い伴侶になることですよね。
イギリスでも、要らなくなったレース犬を、金をとって引き取って殺している輩がいて、大きなニュースになりました。殺した犬を自分の庭に放置していたのです。
馬と違ってレースの犬は特に回転が早く、レースに出れなくなったあと、行き場が困る頭数は半端じゃありません。ボランティアもレスキューも手一杯。じゃあどうすればいいのかといえば、残念ながら、トレーナーまたはオーナーが、自分で、「安楽」死をさせるしかないですが、それさえケチる人がいるから、餓死させたり、酷い殺し方をしたりすることは大きな問題です。
また、レースのブリーディングとしての血統も限られているので、レース犬の「癲癇」も増えていて、会ったこともない、生まれたのもそれぞれ違う、でも、アメリカの犬とイギリスの犬が親戚同士だったなんてことも、全然珍しくないのも問題です。
動物の権利の意識が薄い国でレースが始まれば、今までの繰り返し、もしくはもっと酷い状況になるでしょうね。
皮肉にも、レース用に生産されるグレイハウンドはたくさんいれども、イギリスではレース以外に生産される、ブリードとしてのグレイハウンドは絶滅状態に陥っています。
投稿: 新木美絵 | 2009/03/24 20:47
新木 様
いつも興味深い記事をありがとうございます。
「草ドッグショー」とても楽しそうで、またチャリティーの精神と結びついているところもすてきだなと感じました。
ここ日本では、「ペット博」とか「ドッグフェア」とかあちこちで開催されていますが、商魂たくましいペットビジネスを煽るだけのものと思えます。ペット同伴可という例もあるようですが、こんなところに連れてこられた犬たちは何を思うことでしょう。
英国のような規模ではなくとも、レスキューにつながるようなフェアがもっと頻繁に開かれたら、と考えます。そのために個人でできることは何かも考えていきたいと思います。
さてさて、レディちゃんの入賞おめでとうございます。グリーンのリボンがとっても似合っていますね。我が家のワンは、おやつを待てされたときのよだれの量で、まちがいなく№1(?)かと。
次回の記事を楽しみにしています。
投稿: とろる | 2009/03/28 17:32
とろるさん
よだれの量ナンバー1!それも面白いゲームになりそうですねーーー。
そうそう、そうなんですよ。初めから同じようなことが出来るとは思わないで、小さな、家庭的なショーから始めれるはずです!
千葉の私の日本の知人も、大規模でなくてよいから、ほんとにローカルなお祭り気分で、気楽な感じでこういうのできないかな、とじっくり考えていました。
ペットフェアとか、確かに商魂逞しい感じですよね。。。
犬同伴可でも、ああいう混雑したところは、連れて行きたくないなあ。。。踏まれちゃったりしそうだし。。。
昔私が住んでいたときは、ドッグショーの「クラフツ」はショーに出る犬以外の犬もつれて入れたのですが、今は禁止に。でもそれが正解ですよね。混雑した中につれてこられた犬はとても疲れていそうでした。人間でも人ごみは疲れますもんね。
投稿: 新木美絵 | 2009/03/29 16:34