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Portrait of the Modern Dog

[Photo by jparakilas]

レディが来て2ヶ月あまりのところで、引越しをしなければならなくなった。

日本に比べると、イギリスは車上荒らしが多い。私もセキュリティに気をつけているほうだが、窓ガラスなどは3回割られている。ある夜、路上に停めてある私のオンボロ車、オースティンのカギが壊され、盗まれそうになった。すぐにそれに気付いた私は、17、8歳だろう少年泥棒グループと対決する羽目になり、泥棒グループは「おぼえとけよ」的な言葉をスラングと交えて発しながら逃げていった。カギが壊れたこともあって、私はフィアットの中古車に買い換えた。そうしたら今度はその左後輪がまるっきり車輪ごと盗まれた。気付いた時には、既に彼らは車に乗り込み、高笑いしながら去っていくところだった。外に出て、後輪がレンガに変わっているのを見たやるせ無さは、なかなかない。

そうして身の危険を感じたので、路上に車を停めなくてもよい家に引っ越そうと決めた。

もちろん、犬が OK で、庭がある家を探して。

住宅探しは気が重かった。イギリスの田舎は、家と言えば売買物件ばかりで、賃貸物件は少ない。単身者用の集合住宅も少ないので、最初から一軒家を友達とシェアしようと決めていた。その頃は特に家の値段が急激に上がり始めた時で、多くの家主が貸すより売ることを好んだ。やっと賃貸物件を見つけたとしても、私が外国人で学生であることがわかれば、門前払いも多かった。そんなことに加えて、ペットも OK な物件なんて見つかるのだろうか?と頭を痛めた。

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引っ越す前のちょっと危ないストリートの家。玄関の鍵は全部合わせて5個あった。

結果を言えば、犬 OK の物件など、容易く見つかった。

私がお世話になっていた不動産では、単純に、物件紹介のところに No Pets とか No Dogs と書いていなければ、どんな大型犬でも大丈夫だった。ペットがどうこうより、「喫煙者不可」や、「子供連れ不可」、「失業者不可」、「学生不可」と書かれている物件のほうが多い。

私は外国人で、イギリスに保証人もいない、学生で収入もない。結局、家探しの壁は、犬のレディではなく、人間の自分であった。

幸い、前の家を管理していた不動産屋さんが、学生貸しに慣れていて、家賃6ヵ月分を前払いすることにより、保証人がいなくても、一部家具付の家を貸してくれることとなった。その物件紹介には、犬 OK など一言も書いてなかったので、念の為、尋ねると、「ああ犬?別にいいわよ」みたいな感じで、犬のことはどうでもいいようであった。

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そうして見つけた新しい家(左部分)。家探しはタイミング?

日本の賃貸住宅にありがちな、ペットの体重制限とか、犬種や頭数制限、ペットの誓約書や、ペットがいると敷金が増えるとか(英国も増えることがあるが日本より割増率は低い)、ペットクラブの会員になれだとか、マンション共有部分でペットは抱っこする決まりとか、そういうものはなかったので、後に私は日本で、一部無意味で、余計にお金と手間のかかるシステムにとても驚くこととなる。

最も、この家のオーナーは、借りる人が誰もいなければ、もともと家を手放すつもりで、置いていった家具も、捨ててもいいようなものだった。また、家を売るとなれば、買い手が家を自分の好みに改装することが多いので、絨毯も全部はがし、壁のペンキも塗りなおすだろうから、犬が住まおうが、何されようが、家主はさして気にしなかったのだ。更に、築100年200年の家がざらに存在し、古い物好きなイギリス人は、人が住んだ痕跡をそのままアンティークとし、犬や馬などの動物が住んでいたことも家の歴史のひとつと見ることがある。

ちなみに、イギリスの賃貸物件は、テーブルやソファ、洗濯機やベッドなど、家主の家具がそのまま残っている家や部屋が多い。そのような家具付きの家は、家具無しの家より、やはりペット不可となる場合が多く、特に家主が将来的に家を手放すつもりがなく、家具や装飾に凝っている賃貸物件は、ペットは不可になることが多いだろう。

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石のタイル張りの庭と違って、草のある庭は、狭いながらもとても嬉しかったようである。イギリス家庭の庭(バックヤード)はほとんどが人の高さ以上のフェンスで区切られていることが多いので、プライバシーも保たれ、BBQ をしたり、ボーっと本を読んだり、ガーデニングをしたりと、有益に使える。

英国ペットフード製造協会の調べによると、イギリスでは2軒に1軒の家が何かしらのペットを飼っていて、そのうちの23%が犬を飼っている。2009年のイギリスの犬の数はおおよそ800万頭で、そのうち79%は1頭のみの単頭飼育である。犬の大きさは数が多い順に、中型犬、大型犬、小型犬、超小型犬、超大型犬の順番だ。

つまり単純に考えれば、ペット不可にするということは、家主はマーケットの半分をロスするということになる。また、ほとんどの犬は、子供やティーンエイジャーより家にダメージを与えないと言われており、更に犬にペット保険がかかっていれば、万が一、家がダメージを負った場合にも使うことができる。

ちなみに、家の庭で馬を飼うことが多いイギリス郊外は、馬 OK の賃貸物件も存在する。そういう家は言うまでもなく、犬 OK である。

こうして、私とレディと、家をシェアする友人の、2人と1匹は、庭・駐車場付のテラスハウス(長屋)、行き止まり道路で、治安の良いエリアに引越した。3LDK で月10万円くらいであった。イギリスでは8回、引越しをした。この家は最後に住んだ家で、ボロくて安普請だったけれど、日本に帰国するその時まで、長く住み続けた。忘れられない思い出がたくさん詰まった、素晴らしいホームだった。

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勉強に付き合ってくれるレディ。試験やレポート提出が一段落した後、芝刈り機をかけて芝を刈り揃えるのが気持ち良いのだが、もはや芝というより、牧草が茂ってしまっていた。

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