北欧では日本犬が人気。その理由はおそらく北欧にもネイティブ犬として多くのスピッツ犬が存在するからだろう。多くは日本犬と同様、狩猟犬。彼らは現在でも狩猟犬として使われている。写真は、ワールドドッグショーにて、スウェーデンのネイティブドッグを紹介した時の一こま。犬種はホワイト・ムーススピッツ。ハンドラーの狩猟服に注目。
スウェーデンケネルクラブからこの間会報が来て、パラパラとめくっていたら驚いたものだ。なんと甲斐犬がスウェーデンケネルクラブの2008年新登録犬種として紹介されていたのだ。折あって、以前日本の甲斐犬の権威ともいうべき、あるブリーダーの方のお話を伺ったことがある。そのときに、氏は甲斐犬だけは絶対に海外に進出させないようなことを述べていたので、意外に思えたのだ。
今までヨーロッパの FCI ショーをいろいろ見てきたが、唯一見たことがない FCI 登録の日本犬はやはり甲斐犬なのである。あとでいろいろと調べてみれば、この犬種はアメリカには随分進出しているらしく、おそらくスウェーデンの甲斐犬もそのルートからやってきたのではないかと思っている。
日本で一生懸命日本犬をブリーディングしている人々の多くは、実は日本犬を海外に出すことをあまり好ましく思っていない。先述のブリーダー氏に聞くところでは、
「外国人は日本犬の良さがわからないからね。あの凛とした態度。わび、さび。これは日本人にしか分からないよ、あんた」
しかし「ガイジン」負けちゃいないぞ。彼らに「しょうゆ味」や「みそ風味」の良さが分かる、分からないにかかわらず、日本犬ファンは最近着実に増え ている。以前は、日本犬といえばアキタであった。体が大きいだけに華がある。そういう派手さが好まれたものだが、今、柴犬の人気が急上昇である。
イギリスのクラフト展にもかなり登場しているし、ここスウェーデンでも過去4-5年の間に大きく登録頭数を伸ばしている。柴犬のみならず、ヨーロッ パの大きなショーでは四国犬、北海道犬をみることもある。で、日本人が非難するように本当に「ガイジン」は日本犬のよさをわからないで飼っているのだろう か?
私の地元(スウェーデン)で、どうして柴犬に惚れたのですか?と聞くと、清潔、無駄吠えしない、賢い(非常に賢い)、野性的、小型なのに犬らしさを秘めている etc…
これだけ褒め称えられたら日本人として悪い気持ちにはなるまい。我々ネイティブだってきっと同じ形容詞を使って日本犬を賞賛したはずだ。
いやいやしかしね、とある日本犬保存会関係者の方がコメントを下さった。
「日本犬の持つ精神的な強さを、西洋人はあまり理解しなくてね。アメリカに渡った柴なんか、たしかに人付き合いなんかがすごくよくなって性格がフレンドリーになったのだけど、それじゃ柴犬じゃないよね、もう」
精神力あっての日本犬。それを理解せずに柴犬を作るとどうしても「お人形ルックス」の目が黒々、クリクリの可愛らしい柴になってしまうのだそうだ。
それは否めないかもしれない…。確かにイギリスのショーで見た柴犬はちょっと可愛らしすぎたなぁ…。
ちょっと比較をしてみよう。下は北欧でブリーディングされた柴犬。
対して、下はとある国の柴犬。ちょっと目がクリクリすぎ?これでもドッグショーにて活躍する犬であった。
身びいきではないが、私の住んでいるスウェーデンはしかし、割合いい線で日本犬をブリーディングしていると思う。というのも、北欧には柴犬や四国犬のような、スピッツ種がネイティブ犬として存在し、それを猟犬として使う伝統があるからだ。
代表的な犬はノルウェイジアン・エルク・ハウンド。エルクといっても、北欧ではムースを意味する。日本犬もイノシシや鹿を追う獣猟犬だ。日本犬との 猟で使う「吠え止め」(ほえて獲物をひとところに留めておく)なんて言葉がそのままスウェーデン語となって存在しているから面白い。
もちろん猟法は一銃一狗(猟師一人に一頭の犬)。したがって北欧のスピッツ犬の性質は当然日本犬とよく似ている。猟犬スピッツのなんたるや、を知っ ているから北欧人は日本犬(特に北欧では柴犬)のベーシックを正しく理解することができる。猟犬は「お目々クリクリ」のルックスにはなれまい。スピッツ猟 犬というのは、イノシシに向かうこともある。ムースに向かうこともある。やっぱりあくまでも凛としていなければ。
たとえ「ガイジン」でも解釈さえ正しければ、原産国の意図するとおりに正しく犬種を作って行くことができる。これもまた犬種という概念の深さであり、犬種の面白さともいえるだろう。
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私も犬は沢山飼いました。ボクサー、柴犬、雑種とそれぞれ性格が違いますね。ボクサー犬は外観は怖いですが、おとなしくて、可愛いですよ。山へ入ると先導してくれます。優しい性格の犬です。柴犬は番犬に適しています。良くほえます。飼い主以外には厳しいですね。案外と長生きします。散歩では離さないのが、良いですよ。雑種は此れといって特色は無いのですが、飼ってみると可愛いですね。子供さんには一番よいでしょう。遊びの相手には最適ですね。
デモ死んだらかわいそうです。ソレが原因で犬は辞めました。
宇都宮市 福井徹雄。
投稿: 福井徹雄 | 2009/04/01 14:58
こんばんは。
興味深い記事をご紹介いただき有難うございます。
原産国での用途から離れれば離れるほど、好まれる犬のあり方も変わってくるのはどこの国でも似たようなものでしょうか。
日本で爆発的人気を誇ったシベリアンハスキーも、最近はくりくりおめめに短めの吻のかわいい犬をよくみかけるようになりました。
またアグーチやブラックタンのハスキーには私はお目にかかったことがなく、やはり受け入れ国のニーズに合わせて変化していくのでしょう。
さらに日本犬は同一犬種であっても系統によっては全く異なった表現が出ますから、少ない遺伝子プールの中で極端化していった面もあるかと思います。
いち和犬好きの立場からでも、できるだけ元の姿、気質を留めておいて欲しいものです。
最後にひとつ気になっているのですが、ホワイト・ムーススピッツの左はなんという犬でしょうか?
投稿: rio | 2009/04/02 01:28
福井さんとrioさんへ
コメントどうもありがとうございました!柴犬は、こちらでも散歩に出しても、もしかして鹿の足跡をとって、しばらく森をはしりまわってしまうんじゃないか、とうかつに離さない人、多いみたいです。かなり狩猟欲はあります。
あと、rioさんのご質問ですが、あの灰色の犬は、イェムトフンドというやはりムース狩りに使われる北欧のスピッツです。一番スウェーデンで人気のあるスピッツかな。素敵な犬ですよ。でもだれもペットとして飼っている人いないです。
ふじた
投稿: | 2009/04/02 03:06
柴犬は吠えない方だと思います。番犬に使われない海外ではバセンジーと並んで吠えない犬と紹介されたりします。もちろん警戒心と未知の人・犬への恐怖心は強い方ですから番犬をさせればよく吠えますが。番犬をさせない家で初めて吠えたときは赤飯を炊いて祝いたいぐらい吠えない犬ですよ。エ、今吠えたのうちの犬ですか?って。
最近は"shiba-inu-puppy-cam"というものが大評判になって柴犬の知名度向上に拍車がかかりました。ちょっと心配です。
投稿: 通りすがり | 2009/04/02 14:25
あと、和犬の眼が奥目で小さく見えるのは下ばえ (笹や柴) の多い日本の山のに適していで、眼を傷つけたりゴミが入り込んだりしにくいんです。だからオリエンテーリングのような野遊びが発展した森に下ばえの無いスウェーデンではくりくりでも問題ないはず。
投稿: 通りすがり | 2009/04/06 14:46
ちょっと、ドングリの様な目の柴は・・・
それに目だけじゃないですよ、写真の犬、頭全体からして違う様な。
こういう柴を芸柴と言う、と聞いた事があります。
秋田犬でも既に秋田犬とアメリカで発達したアキタに完全に分かれてしまいましたし、気をつけないといずれ柴もそうなって行くのではないでしょうか(そんな事想像したくもありませんが)
国内においても、柴は柴保系と日保系と大別して二系統存在しますし、わずかですが山陰犬(山陰柴)、川上犬、美濃柴などの柴犬地犬系が保存されています。そう言う犬達も海外に出たら一括りにシバとされるのかな、と思います。
う〜ん、日本犬飼いとしては複雑です。
投稿: 昇汞 | 2009/05/04 13:23
遅ればせながらのコメントです。
スウェーデン、たった一週間でしたが訪れたことがあります。
スウェーデンはお気に入りの国のひとつです。
私は現在カナダに住んでおりますので、寒さではスウェーデンには負けません。
夏には時に暑い日もあるので、暑さ寒さに順応できる柴犬を飼っていますが、
散歩時にはやはり同じリアクションをされます。
まずは見た目が珍しく、狐に似ている、ディンゴに似ているとよく言われます。
そして続けて必ず言われることが、美しいということです。
日本人でしか日本犬の良さはわからないとは。。。鎖国中でしょうか?
ちょっと日本犬が好きな人は、日本犬は清潔で凛としている、無駄吠えもなく賢いと言われます。
耳が立って、尻尾も巻いていて、立つと同じサイズの洋犬より大きく見えます。
もうすぐ1歳という我が家の犬ですが、ドッグランでは必ず吠えられ追われます。何故かといえば生意気に見えるのだと思います。
海外で自分の国の犬を飼っている、それは誇りであり大きな楽しみです。
目が少々大きめだとかそんなに問題でしょうか?
逆にこんなに小さなな目も珍しと思う柴もいますが。
日本人だって二重瞼の人もいれば、鼻の高い人もいますよね。
(いや、縄文人でないと、弥生人でないとという人はいない筈です)
秋田はアメリカン秋田と、ジャパニーズ秋田ができてしまっていますが、日本の秋田にもシェパードの血が入っていますよね。
きちんとした管理と繁殖がされないと、柴の秋田のようになるのかも知れません。ですが、素晴らしい日本犬を世界に知ってもらうのは、素敵なことだと思います。 決して犬だけが先行してしまわないよう、その歴史背景も含めた情報も海を渡らないといけないのだと思います。
投稿: シナモンロール | 2009/08/21 00:15
うちの犬もある時突発的に多数の犬に追われたことがあります。遊びじゃないです。キャンキャン鳴いて腹を出しても、追いついた洋犬たちは飼い主達がそれぞれリードをつけて引き離すまで柴犬を取り囲んで吠え続けました。
前傾してピンと立った耳や背中の上に覆い被さった尻尾、張った胸などが「態度が大きい」と映るようですね。うちのは「素朴」と「良性」は立派に備えていても「悍威」が欠けているので、少しも生意気じゃないはずなんですが。
正確には目が大きいというより奥目じゃないんですよね、上の黒柴は。何歳か判りませんが成犬だったら目が出すぎです。和犬が奥目なのは濃い下生えをくぐって走っても目にゴミが入りにくいんだそうです。
投稿: 関東リーマン | 2009/08/21 23:06