トップだけがぴょこりと垂れた耳と巻き毛が特徴のプーミー。ハンガリーにはこのようなおかしな見かけをした原産犬種がたくさん存在する。
大陸部のヨーロッパ諸国では、年に1-2回程度だが、原産国犬種だけを集めたショーを開催することがある。なにしろあのへんは国々がせめぎあっているから、「わが国こそ!」と主張したいナショナリズムなんかもあるのかもしれない。何はともあれ、原産国犬種ショーというのは、知る人ぞ知る地犬種達を一気に見れる一大チャンスだ。このローカルさと珍しさは、どんなに大きなインターナショナルショーでも味わえない。中でも、東欧ハンガリーのショーは最高!それもそのはず、この国の原産種は何故か皆不思議な見かけをしているのだ。
日本で知られている犬種では、プーリーがその代表だ。見かけに拘わらず、プーリーは古い牧羊犬種だ。国道沿いの農場にいる牧羊犬なんかを見ると、毛がだま状になってぶらさがっている。そういう見かけの犬がどうも伝統としてこの国には根付いているようだ。それで、コモンドールのようなプーリーの親分みたいな犬も存在する。しかし、コモンドールはプーリーの元気な性格とまるで反対で、こちらはゆったりとして、また警戒心が強い。体高80cmにも及ぶ白いドレッド衣をつけたコモンドールだけが、ワサワサとショーリングの周りに並ぶシーンは圧巻。ここまで数が集まるのも地元ハンガリーならでは。
ムーディ。ブラックが一般的なカラーだが、原産国にいくとこんなカラーも存在する。地元ならではの面白さ!
もう一つ、原産犬種ショーで面白いと思ったのは、その国外では絶対に見られないカラーバリエーションなんかも発掘できるということ。ムーディーというこれまた不思議な見かけの犬は、プードルとスピッツを合体させたような巻き毛の牧羊犬。黒いカラーの犬種として他のヨーロッパ国では知られている。しかし現地には、ブラックのみならず、マールやホワイト、クリームなんかがいた。これは大発見!
ショーの合間にワーキングドッグ・デモをふんだんに入れてくれたのもハンガリーショーの楽しさだ。 プーミーという宇宙から来たような犬による火くぐり、普段は番犬としてのんびり牧草地で構えているクバーズによる防衛競技に棒高飛び、プーリーのダンス等、次々と手を変え品を変え犬種を変えてデモが続く。のみならず、リングから少し離れたところで、特別にハンガリアン・グレーハウンドによるレーシングも開催。ハンドラーたちも民族衣装を着ての登場だ。これなら、十分ツーリスト・アトラクションにもなりそう!
ブレース(オスとメスのペア)・クラスで優勝した白いプーリー。この特徴的な縄毛は、毛がからまってできあがる。
何しろ青空ショーなので、きらびやかなライトもないし、きれいなドレスを着たお姉さんもメインリングに進行役としてでてこない。気がついてみたら、デモは終わっていつの間にベストインショーになっていた次第だ。盛り上げミュージックもないまま審査員がこれ、と手をさし出したら、あるハンガリアン・グレーハウンドが BIS(ベストインショー) に選ばれていた。みんな嬉しそうに手をパチパチ。写真を撮ったり、互いに抱き合ったり。楽しさ、のんびりさ、誇らしさが溢れたハンガリー原産国犬種ショーは、ヨーロッパにドッグショーが数あれど、必見のお勧めのドッグ・イベントである。
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