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家畜化した動物とはいえ、犬にはまだまだ捕食動物として持つべき行動のレパートリーがたくさん残されている。私たちはそれとどうやってつきあっていけるのか。

ふとしたとき、愛犬が普段とはまるで別の顔をみせてくれる瞬間というのがある。愛犬が見せるそんな一瞬を見て、「なんだか野生ぽくていいじゃないか」と笑いとばす人もいれば、「行儀が悪いわ」とがっかりする人もいるだろう。あるいは「きっとバカイヌなのかしら?」とあきらめ気味の人もいるのかな?

たとえば…

  • アイコンタクトもばっちり、見つめあいながら楽しくお散歩をしていた途中、突然、道端の鳥に気をとられ、体が凍結したように動かなくなる。
  • 居間にいるときは、どこにでもみんなの後をついてくるくせに、一旦外でリードを外すと、するりと脇を抜けどこかに走り去ってしまう。
  • おもちゃを口にすると、「捕まえられるものなら捕まえてごらん!」といたずらっ子になってしまう。
  • 自転車に乗っている人を見て、吠え出す。
  • においだしたら、まるでアイコンタクトのトレーニングをわすれてしまったかのように地面に集中する…etc.

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捕まえられるものなら捕まえてごらん!おもちゃを持たせたとたんに飼い主のところに戻りにくくなってしまうのは何故だか考えたことがあるかな?

これら数々の突然の犬の行動を、ここでは「犬にスイッチが入った瞬間」と定義してみたいと思うのだ。そこには、どうやら犬の本能と関係したことがひそんでいるようだ。ということは、「バカ」とか「賢い」といった私達の主観的な決め付けが入る余地はないのかもしれない。今回は、何故犬がそういう行動にでるのか述べてみたい。

愛犬と仲良く暮らす上で、犬の不思議行動の裏にある原動力を理解するのは非常に大事なことだ。日本では今、多くの犬は家庭犬として私たちと共に生きている。そのおかげで、彼らは皆、人と息を合わせるのがとても上手だ。お洋服を着せても、文句も言わずむしろ嬉しそうに飼い主の横を歩いているし、トリミング台で素敵なヘアスタイルをほどこしてもらっている間も、我慢強く立っている。

その点、犬の祖先といわれているオオカミや他の犬科の動物(たとえばキツネ)から、そんな辛抱強さを期待するなんてこと、とても、とても…。彼らは野生に生きているので、人間と息を合わせて暮らす、という歴史がない。そういう風に進化しなかっただけで、まぁしょうがないのだけどね。

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トリミング台に忍耐強くじっとしていられるのは、家畜動物ならではの従順さ。

しかし、どんなに犬が「文明化」されても、やはり程度の差はあれ、本来の犬らしさというものを皆少しづつ兼ね備えている。それが、時に問題行動として発揮されてしまうこともあり、我々人間にとっては頭痛の種ともなっている。

スイッチが入る瞬間とは、そんな犬らしい行動をふと見せる瞬間ともいえるだろう。特に狩猟行動は、犬の行動レパートリーの中にまだまだ深く残っている。だからといって、オオカミのように獲物を殺して食べる、というような「完璧な狩猟行動」を見せることはいくつかの例外を除きほとんどない。そんな行動を見せる、人間にとってやっかいな犬は、犬の進化の歴史の中でとっくに淘汰されているはずだ。それより、犬はその狩猟行動のところどころ、一部分を持った動物であるということを留意していただきたい。

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