トップ >  世界の犬事情 > ベルギーで見つけたレトリーバーだけのための犬学校

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ベルギーのコートリックで行われたユーロドッグショーではレトリーバーによる回収技のデモが行われた。最近、レトリーバーのフィールド技をみせるイベントが多くなったような気がする。

レトリーバー・ファンなので、レトリーバーについて久しぶりに書いてみたい。

ベルギーのコートリック・ユーロドッグショーを訪れたときのこと。メインリングではいろいろなドッグスポーツのデモが行われていたのだが、そこでレトリーバーの回収技デモがあった(ガンドッグ・ディスプレーと名打っていた)。このショーでは昨年から導入されたそうだが、いやはや、最近は多いよ、レトリーバー・デモが、世界各国で。

ちょっと前まではレトリーバーの本家本元、イギリスのドッグショーぐらいでしか見れなかったのに…。やはり世界的にブームなのだろうか、このスポーツ。驚いたのはそれだけじゃない。デモを主催している団体が、なんとレトリーバー専門の犬訓練学校だというのだ。レトリーバーだけのためのドッグスクールだなんて、初めて聞いたもんだ!その名もなんと

「WILL TO PLEASE」

おおおぉ…。

レトリーバー・ファンではない方のためにちょっと説明をつけくわえておくと、レトリーバーの気質を表す定番の言葉がこの”Will to please”、ウィル・トゥ・プリーズ。「喜ばせたい!」つまり「お仕事大好き!」というレトリーバー独特のサービス精神のことだ。わたしとはまるで正反対の性格である…。

デモではレトリーバーが本来フィールドで行う猟技を見せてくれた。指示したダミーを取らせるように(転がっているどのダミーでも取っていいというわけではなく)、ハンドシグナルを出し遠隔で犬を操作したり、笛をふいて突然止まらせたり。かと思いきや、ひとつのダミーを取らせている間にわざと二つ目のダミーを投げて、気を散らせる。でも指定したダミーを絶対に取らせるなど…。

いずれもすばらしく訓練が入っており、これならもう世界大会にいつだって出れるような犬ぞろいであった。デモはしかし、私のような「ちょっとかじりました」訓練者にため息ばかりをつかせる技の見せびらかしのみに終始しなかった。子犬からどうやって訓練をするべきか、という初心者入門デモもあった。若いキャピキャピとしたフラットコーテッドレトリーバーがその役をつとめた。

若い犬だから失敗もする。それを訓練者としてどうやってフォローするのか、どう学習を正しく入れてあげればいいのか、そんなお役立ちデモもあったからさすが犬学校主催、教育的。見ていてとても楽しかったし、ギャラリーは人盛りとなっていた。

そしてウィル・トゥ・プリーズは、これらレトリーバー技を教えることに専門化したドッグスクールというわけである。

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若いフラットコーテッド・レトリーバーもデモに参加した。

いやぁ、しかし待てよ。ちょっといつものレトリーバー・デモと違わないか、と思ったものだ。それは、なんとラブラドール・レトリーバーが一匹も出ていなかったこと!イギリスのガンドッグ・ディスプレーなんて、ややもするとブラック・ラブばかりの時もある。

これは主催者にどうしても聞かずにはいられなかった。

「ゴールデンとフラットばかり。ガンドッグのデモでこうゆうのは珍しいですよね?」

とウィル・トゥ・プリーズの一人の女性訓練士の方に尋ねた。

「あら、そうなのよ。ほら、フィールド競技会って、ラブばかりが優勢でしょ。このクラブ(ウィル・トゥ・プリーズ)を作ったメンバーっていうのが、実はそれを打破したい人たちの集まりだったの。もっと他のレトリーバー種にも光を当てたら!と。そうじゃないと、ワーキングの能力はラブばかりに残されて、他の犬にはなくなってしまうかもしれない」

だからメンバーの多くは、回収技に長けて、訓練性のよいゴールデンやフラットを作るブリーダーが多いのだそうだ。もちろんこの学校ではラブはウェルカムであり、かなりの生徒さんがいるそうだ。

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ワーキングの素質は確かに、丁寧にブリーディングしないと失われてしまう可能性がある。たとえば、ペット系のゴールデンには、回収にすら興味がないという個体も最近増えたと聞いた。

犬を作る、と私はこのブログの中でよく表現しているけれど、それはただむやみに繁殖させる、という意味ではない。犬種を作るということは、親犬を選択して、欲しい素質を見極め、そして健康的なその犬種らしい犬種を生み出すということに他ならない。

ドッグスクールであるにもかかわらず、ウィル・トゥ・プリーズもやっぱり犬種の機能を残す、というブリーディングの精神がベースになっていたとは、面白いと思った。

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コメント

ウィルトゥープリーズ、この性質を生かすも殺すも飼い主次第なんでしょうね。
私の犬もこの性質を持つゴールデンですが、普段の生活ではのんびりと寝てばかりいるので仕事を与える事を忘れてしまいがちです。

家の中にいるとレトリーブする物など限られてますが、二階の吹き抜けから落としたハンガーなど回収してきてくれるのは、非常に助かりますし便利です(笑)
回収作業も楽しい、そしてその先にはご褒美が待っていて犬にとっては二度美味しい。
あれ…?もしかして私の犬は素質というより食い意地がプリーズさせてる?あ…気づかなかった事にしよう。

ともあれ、『犬種らしい犬種』としての健康なゴールデンレトリーバーを生み出し、私に託して下さったブリーダーさんに感謝しています。
健全なブリーディングが広く根付いていくといいですよね。

投稿: オードリー | 2009/11/04 15:49

オードリーさんへ

何も競技会といってかしこまる必要ないですよ!家で何かをレトリーブしてくれる、という日常の中で犬の技能を生かしてこそ、犬にとって幸せ…!それに、それこそレトリーバーを飼っている意義?!
レトリーバーの食い意地は、世界共通です。

ふじた

投稿: ふじた | 2009/11/04 17:49

藤田さん、こんにちは、

前回の記事「北欧のヘラジカ狩とスピッツ猟犬」と今回の記事、とても興味深い内容でした。

私はイタリアでチョコラブを飼っているのですが、こういったレトリーバー・デモを一度見てみたいなぁと思っています。もし藤田さんのおっしゃるように、世界的なブームになっているとしたら、ここイタリアでも行われているのかな?

それにしてもこのドッグスクール、とてもユニークで素敵な学校ですね。健全な犬種作りに力を注がれるブリーダーの方々と、その犬が持って生まれた能力を、最大限に活かせるような訓練方法を教えるドッグスクール。双方が一体となって、このような団体が結成されているという点も非常に興味深いです。

ここイタリアでは、「イタリアにはこんなに多くのラブやゴールデンがいるのに、本物は今ではほんの少しよ・・・」と、あるゴールデンのブリーダーの方は嘆いていました。やはり、素人による繁殖が一般的に行われているということが、原因の一つとして挙げられるそうです。

投稿: sao | 2009/11/04 20:41

Saoさん、コメントありがとうございます!

イタリアは鳥猟がすっごくさかんだから、レトリーバーをやっている人は、セターやポインターに比べたらあまりいないかもしれませんが、やる人はとことんやっているはず!
ここのクラブ(イタリアのワーキングレトリーバーのクラブ)に問い合わせたら、見に行けるようなイベントをおしえてくれるかもしれませんので、貼り付けておきますね。
http://www.workingretrieversclub.it/IlClub/IlClub/tabid/1410/Default.aspx

投稿: ふじた | 2009/11/04 22:34

初めまして、日本在住のハンクと申します。

毛が長いレトリーバーが好きなので、この記事を興味深く拝見しました。 盲導犬はラブばかり、ペット番組「ポチたま」でもラブが主役のコーナーがあって、ゴールデンやフラットが活躍しませんよね。 特にゴールデンは番犬に向かない能天気な性格であると様々なメディアで紹介されています。 かく言う私も以前飼っていた犬には仕事を何もさせていませんでしたが、新聞や大工道具、撃った鳥を持ってこさせては褒めるのもいいですね。

レトリーブ能力を残す取り組みでは、拾い物に関心が無い個体は去勢して繁殖しないようして維持するのでしょうか? 単にレトリーブする個体はブリーダーや猟師が繁殖しレトリーブしない個体は一般人に売るとなるときれいに2派に分かれそうですね。

ヘラジカ猟の記事や満月と犬・人・狼の記事も拝見しました。私も銃猟をしようと考えていますが、猟犬を連れて行くかは迷っています。犬の方が人より体高が低いですから、イノシシの牙に突かれたり鹿に踏まれないかと心配なんです。

最後に、3枚目の写真で投げているものが火がついた火炎瓶のように見えてしまいます。火炎瓶のわけはないですが、何なのか分からないので、教えていただけないでしょうか?

投稿: ハンク | 2009/11/05 17:20

ハンクさん、こんにちは

写真で投げているものは、ダミーといって、あれを撃ち落した鳥やウサギ代わりにつかって、回収の練習をさせているのです。こちらには、カンバス生地でできたダミーがペットショップにどこにでも売っているのですね。あれは、丈夫だし、水にも浮くので、やっぱりあのダミーじゃなきゃ…。
ダミーはイギリスのターナー・リチャーズのが有名で、イギリス外でも定番です。ホームページは
http://www.turnerrichards.co.uk/acatalog/Hand-Throwing_Dummies.html
お試しあれ!

投稿: ふじた | 2009/11/05 18:58

はじめまして♪
二代目のラブラドールと暮らしています。
ラブの気質を表すときに人なつっこくてフレンドリーです。
もちろんお仕事大好きでIQも高い!です。
って説明していましたが何かが足らない!!
【喜ばせたい】が欠けていました。
胸のつかえが取れたような気がしています♪
今度からラブラドールは
「人を喜ばせるのが大好きな犬です」と
胸を張って表現したいと思います。
ありがとうございました♪

投稿: さくらちん777 | 2009/11/06 11:27

藤田さんこんにちは
いつも素晴らしい記事をありがとうございます
いつも読ませてもらっています。

今回の記事はフィールド系ゴールデンレトリバー飼いの私にとってはとても嬉しいニュースです。

最近はレトリバーの競技が世界中で流行っているのですね♪
嬉しい限りです

日本でも頑張って流行らせます!

投稿: 森山です | 2009/11/13 18:03






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